ITストラテジスト試験受験記録と難易度について
目次
受験記録
受験のきっかけ
中小企業診断士試験に惨敗したため、「試験慣れ」が必要であろうと考え、似ている試験を選択。実務的にもぴったりな内容。
受験の前提
中小企業診断士試験2次試験惨敗。PMP持ち。エンジニア経験、ITコンサル的な実務経験あり。
受験結果
そこそこの成績で合格
https://twitter.com/ez_momonga/status/1408421461925134337
学習期間
令和3年1月~4月、正味3カ月程度
典型的な年度末繁忙業務のため、平日は後述のアプリで午前対策のみ。土日に1時間程度午後1を解く。午後2はほぼ対策なし。頭の中でネタを考えるのと、試験直前に投資対効果を再計算して論文のネタにしました。
使った参考書
「ALL IN ONE パーフェクトマスター ITストラテジスト 2020年度」と「ITストラテジスト午後2最速の論文対策」の2冊。気づかずに購入しましたが、どちらもTAC出版で、午後2の内容は重複してしまったかも。でもどちらも役に立ちました。
学習内容
午前1、2
スマホアプリで通勤電車で毎日30分程度。午前1、もしくは午前2をひたすら解く。スマホアプリだと計算問題はできませんが、そういった問題は解答するのを最初から放棄して、知識だけで解ける問題を解くことにフォーカスしてました。特に午前1は範囲が広く、覚えるのは大変かと。
午後1
過去問とその答えを見て、与件から内容をまとめて記載すれば答えになると判断。この辺が中小企業診断士の二次試験とは違うところですね。午後1は1~4の設問から2つを選ぶ形式ですが、試験本番では難易度を考慮せず1と2を選びました。令和3年度に関しては、4問目が簡単かなと思いましたが、その場で難易度を判断して切り替えるのは難しいと思います。
午後2
たぶんエンジニアの方々かつまづく可能性が多いのがこの午後2の論文。逆にコンサル系の人は普段の仕事と変わらない感覚で作文できるかと思います。特にIT系のコンサルは実務経験をもとにして書けると思うので、苦はないかと。
あとは流行りもの、AI、IoT、DXなど、流行りの素材は押さえておく必要があるのと、技術動向というよりも、経済産業省の推してる方向性をつかんでおくのが大事だと思います。それでだいたい試験の傾向のヤマははれます。午後2の問1は流行りもの、問2は実務経験重視の内容、問3は組み込み系なので、問1が一番対策しやすいかと思います。
また、必ず問われるのが「評価を受けて改善したこと」。これは提案内容が100%ウェルカムで受け入れられることは現実的にないため、フィードバックを受けてどう改善したかということを問われているものと認識しています。
自分は先にROIの値を示しておいて、評価を受けた際には「もう少しROIを上げたい」と言われたと想定し、初年度に販促等でユーザ数を当初想定より増やしておけば、5年間のROIが向上するよ、というストーリーで書いておきました。中小企業診断士の2次試験でよくある、投資として広告を出しトータルでキャッシュインを増加させるみたいなイメージですね。もちろん論文なので細かい計算式は書けませんが、逆にその点は楽かもしれません。
受験してみた感想
論文に関してですが、講評に毎年以下のように言及されています。
「全問に共通して,“論述の対象とする構想,計画策定,システム開発などの概要”又は“論述の対象とする製品又はシステムの概要”が適切に記述されていないものが散見された。」
試験受けるまで理解できなかったのですが、なぜこんなことになるのかというとが分かりました。自分の試験当日のプロセスはこんな感じでした。
1.試験開始、とりあえず問1~3の問題を確認して、頭の中にあるネタと照らし合わせどの問題を解くか選択する
2.わーっと書き始める。
3.設問イを書き終わり、時間を確認すると残り30分くらい。
4.腕が疲れてくる
5.最後の設問である設問ウを記載しつつ、文字数が足りなくて焦りだす。漢字で書けば2文字なのにわざとカタカナ表記して文字数を稼ぐなど、見苦しい対応を行う。文字数を満たさなければ評価すらされないので、全力で書く。
6.残り5分くらいでなんとか書ききる。
7.そして「論述の対象とする構想,計画策定,システム開発などの概要」を書いていないことに気づき、焦る脳みそと震える腕で書きなぐる…。
ということで、最後に焦って書くことになるので、講評のとおり、雑な文章や適当な内容になるのではないかというのが実体験をもとにした感想です。
ITストラテジストの難易度について
ITストラテジスト試験に関しては、情報処理技者試験の歴史的経緯や、弁護士や税理士と並び厚生労働所の指定する「高度専門職」として扱われるため難易度が高いという意見がある一方で、あまり勉強せずに合格している人もいるようです。
受験する側としては判断に悩むところかと思いますので、受験した感想と勝手な想像に基づきコメントしておこうと思います。
難易度高い派について
1.客観的事実で述べてる派
想像ですが、情報処理試験の歴史的経緯を踏まえて最難関であることや、単純に合格率を見て難しいと言っているのではないかと思われます。
2.生粋のエンジニアの意見
こちらも想像ですが、システムアーキテクト、プロジェクトマネージャと順当に試験に合格し、もしくはキャリアアップした先に、ITストラテジストの受験を考えると、これまで学び実践してきたエンジニアリングや技術的な知識がまったく使えなくなるため、難しいと感じるのではないかと思います。
特にネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリストなど、本当のエンジニアとして必要な技術を身に着けてきた人ほど、急に企業経営や法律に関する出題となるITストラテジストに苦手意識を持つのではないかと思います。
3.IT関連に苦手意識のあるコンサルタント
どの業種においてもITの知識は基礎教養として必要であるにも関わらず、ITに苦手意識を持つ人は一定数いるという印象です。例えそれが現役のコンサルタントとして優秀であったとしても、ITというだけでアレルギー反応を起こす人はいます。(そんな人がITストラテジストに言及することは少ないと思いますが…)
あまり勉強せずに合格した派について
またまた想像ですが2通りに分かれて、コンサルを専門に担ってきた人でITにも詳しい人か、SEなどエンジニアとしてキャリアを積んでコンサルにも手を伸ばしている人だと思います。自分は後者の方ですね。どちらにせよ実務経験と学習時間の相関関係が強いのだと思われます。